さらば綺麗事の世界。トランプが暴いた「荒野の時代」を日本はどう生き抜くか?

Last Updated on 2026年4月3日 by ぷーやん

国際政治、世界情勢……

こうした言葉を聞くと、どこか遠い国のエリートたちが、洗練された外交プロトコルに基づいて、表向きは「仲良く」振る舞いながら、裏で高度な腹の探り合いをしているものだ、というイメージを持たないだろうか。

しかし、そうした「綺麗事」の時代は、終わった。いや、トランプという男の登場によって、終わったことが白日の下に晒されたのだ。

本書が描く世界は冷徹だ。

これまで国際秩序を支えてきた国際法や協調体制といったルールは崩壊し、代わって「軍事力や経済力という物理的なパワーがすべてを決定する」という、人類史本来の剥き出しの生存競争――すなわち「荒野の時代」が到来したと、著者は指摘する。

正義とは「正しいか否か」ではなく「強いか否か」で決まる、弱肉強食のフェーズに入ったというのだ。

この概念を根本から破壊したのがトランプだ。

彼のエゴイスティックな自国第一主義は、既存の秩序が守らなくなった限界を見抜いた、ある種の合理性に基づいている。

しかし、彼が異質なのはその中身だけではない。トランプという人間そのものが、これまでの「外交の常識」を逸脱している。

これまで世界は、腹黒いエリート同士が「綺麗事」の仮面を被って、高度なポーカーゲームを演じているようなものだった。

だが、トランプは違う。彼はその仮面をかなぐり捨て、空気を一切読まず、公の場で言ってはいけないようなこともズバズバと言う。

裏表がなく、頭に浮かんだことをそのままストレートに出す、その「バカ正直」さは外交の場でも変わらない。それは、人間の本質そのもの、エゴの剥き出しの姿だ。

本書ではプーチンや習近平も強権的指導者(ストロングマン)として同列に扱われているが、トランプは彼らとは全く異質の存在である。

プーチンや習近平は、あくまで仮面を被り、冷静な計算の上で力を行使する。

しかし、トランプの、人間の保守的な部分(本音)をついた過激な発言は、単なる打算ではなく、彼の独特なオリジナルキャラクターから来ている。

あえて言えば、空気を読まずに過激なことを口走ってしまう「オーバーシュート(行き過ぎ)」が、彼の本質なのだ。

だが、このトランプの登場は、日本にとって「致命的な危機」であると同時に、意外な「好機」となるかもしれない。

世界は今、限られた覇権や資源を奪い合う「音楽の止まった椅子取りゲーム」の最中にある。

アメリカの相対的な弱体化によって生じた空白地を、強者たちが力で埋めようとしている。この残酷なパワーゲームにおいて、かつての平和のルールを信じ続けることは死を意味する。

日本人は、この過酷な「荒野」の現実を直視し、相応の覚悟を持って対峙しなければならない。

しかし、日本人はこの「荒野」で生き抜くための、強力な武器をすでに持っているのではないだろうか。それこそが、欧米諸国には到底持ち得ない、「物事のあら波を立てずにうまく処理をする能力」である。

トランプのように、人間の本音を剥き出しにする異質の存在を、うまくおだてながら、手のひらに乗せて育て上げ、波風を立てずに物事を進める――。これは、日本人が最も得意とするコミュニケーション術だ。

トランプという、常識破りの男の登場によって、世界は「きれいごと」を失った。

だが、その混沌とした世界だからこそ、日本人の持つ「場の空気を読み、うまくおさめる」という対応能力が、一躍クローズアップされていく。

もしかしたら、この荒野の時代において、日本こそが最も高度な対応能力を発揮し、サバイブできる国になるのかもしれない。私たちは、その可能性を信じ、この新たなゲームのルールに、覚悟を決めて挑むべきだ。

PS
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この記事の監修者:ぷーやん(35年の実績)

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