Last Updated on 2026年8月30日 by ぷーやん

近年の急速な円安や物価高騰によって、日本の防衛費が実際には大きく目減りしている。
ニュースでも話題になっている通り、F-35戦闘機やヘリコプターといった主要な防衛装備品は、23年度の計画時点と比べて35%から60%近くも価格が跳ね上がっている。
そのため、予定していた数の装備品を調達できなくなる事態に陥っている。
国家の安全保障に関わる極めて重大な問題であるにもかかわらず、政府や防衛省の対応には疑問が残る。
ファイナンスやビジネスの基本を知る者であれば、このような為替リスクは事前に対策できたはずである。
ここでは、なぜこのような事態が起きているのか、そしてなぜ「為替ヘッジ」という当たり前の対策が取られなかったのかを分かりやすく解説する。
円安による防衛費目減りの仕組みと政府の的外れな対策
防衛省の資料によると、23年度の想定ドル円レートは108円だったが、26年度のレートは157円から163円へと大きく円安が進んでいる。
F-35などの高額な装備品はドル建てで支払うため、円安になれば円換算での支払額が膨らむのは当然である。その結果、防衛予算の総額を見かけ上増やしても、実際に買える装備品の数量は4割から7割も減ってしまう。
これに対して政府や与党は「国内生産を強化する」という対策を口にしている。
しかし、これは根本的にピントが外れている。国内で製造するとしても、原材料やエネルギー、部品の多くは海外からの輸入に頼っている。
そのため、円安になれば国内生産品であっても結局はコストが高騰する。問題の本質は生産拠点の場所ではなく、為替の変動リスクに対する無策にある。
なぜ「為替ヘッジ」をしないのか
企業が海外から高額な商品をドル建てで輸入するとき、将来の円安リスクを防ぐために「為替ヘッジ(先物予約など)」を行うのはビジネスの常識である。
あらかじめ決めたレートでドルを確保しておけば、どれだけ円安が進んでも予算通りの金額で予定通りの品物を購入できる。
23年度に防衛計画を立てた当時、これからの金融環境を考えれば円安に進むリスクは十分に予測できた。
仮に万が一円高に進んだとしても、装備品を安く買えるため財政的にはプラスになる。しかし、円安への備えとして為替ヘッジを導入しておけば、今回の防衛費目減りは完全に防げたはずである。
国家の防衛力を守るという重大な任務を担いながら、民間企業なら当たり前に行う為替リスク対策すら怠ってきたことは大きな問題である。
「防衛費が足りない」と嘆く前に、まずは財務や調達の仕組みを見直し、為替ヘッジを導入するという当然の金融対策を行うことが急務である。
この記事の監修者:ぷーやん(35年の実績)
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