世界史は「カネの物語」でできている

Last Updated on 2025年12月6日 by ぷーやん

人類の歴史を動かしてきたものは何だろうか。

宗教、戦争、イデオロギー……それらはすべて正しい答えだろう。しかし、世界を最も根底から、そして静かに動かし続けてきた力こそが、「マネー」だ。

著名な歴史家であるニーアル・ファーガソンが著した『マネーの進化史』は、単なる経済学の本ではない。それは、世界史を「金融」というメガネを通して読み解く、壮大でスリリングな文明の物語である。

この本を読めば、歴史教科書では決して教えてくれなかった、世界が「今」の形になった理由が鮮やかに理解できるだろう。

この本の最大の魅力は、貨幣が形を変えていく過程を「金融六大発明」として体系的に捉え直している点にある。

ファーガソンは、金融システムが人類のニーズに合わせて「進化」してきたプロセスを、ドラマチックな歴史的エピソードとともに解き明かす。

  • 銀行: フィレンツェのメディチ家が現代の銀行システムの原型を作った物語。
  • 債券: 戦費調達から始まった国債が、いかに国家の力を左右したか。
  • 株券(株式会社): オランダ東インド会社が先駆けた、リスクを分散し、巨額の富を生み出す仕組み。
  • 保険: 大火災や疫病から生まれた、不確実性に対抗する知恵。
  • 不動産: 住宅ローンやサブプライムローン問題の根源にある、土地と信用を紐づける仕組み。
  • ヘッジファンドとデリバティブ: 現代の金融工学がもたらす光と影。

これらの「発明」が、時に文明を加速させ、時に世界恐慌という名の地獄をもたらしてきた歴史が、生き生きと描かれている。

本書は、金融の「成功の歴史」を描くだけでなく、「破滅の歴史」も容赦なく描き出す。

チューリップ・バブル、南海泡沫事件、そしてリーマン・ショックに至るまで、人類はなぜ同じ過ちを繰り返すのか。

ファーガソンは、その根本的な原因を人間の飽くなき欲望と、集団的健忘症に見出している。

「歴史から学ぶべきことはただ一つ。それは、誰も歴史から学ばないということだ。」

この本は、金融市場を動かすのは冷徹なロジックだけでなく、人間の心理であること、そして「バブル」は常に人々の熱狂によって生まれることを痛感させる。

この一冊で世界を見る目が変わる

『マネーの進化史』は、経済学の専門知識がない人でも楽しめるように工夫されている。

歴史上の人物たちのドラマ、緊迫した交渉の舞台裏、そして巨大なカネの動きがどのように世界地図を塗り替えてきたのかが、物語のように展開されるからだ。

現代社会で「株」「為替」「インフレ」といったニュースに触れるたびに、この本で学んだ歴史的な背景が頭をよぎるようになった。単なる経済の知識ではなく、「世界を見るための視座」を与えてくれる名著である。

早川文庫版はコンパクトながらも内容は濃密。「歴史を学びたい」「金融を体系的に理解したい」というすべての人に強くお勧めしたい一冊だ。

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