Last Updated on 2026年2月21日 by ぷーやん

1989年、日本経済は空前絶後のバブル絶頂期にあり、株価の無限の上昇を信じる声が市場を支配していた。
現代においても「日経平均10万円」といった強気な予測が飛び交う中、投資家はかつての「予測の失敗」から何を学ぶべきか。当時の衝撃的な予測と、現代の市場環境に潜むリスクを構造的に分析する。
1. バブル絶頂期に放たれた「日経平均8万円」予測の正体
1989年末、日経平均株価が史上最高値の38,915円を記録した際、専門家たちの予測は過熱を極めていた。
- アサヒビール樋口社長の予測: 1990年末に48,100円
- 野村證券のレポート(1989年11月): 1995年に81,700円
特に、証券業界のガリバーであった野村證券が打ち出した「8万円超え」のシナリオは、当時の四大証券の中でも群を抜いて大胆なものだった。
高度な分析機能を備えたシンクタンク(野村総合研究所)を擁する同社の予測は、多くの投資家に「バラ色の未来」を確信させるに十分な影響力を持っていた。
2. なぜトップクラスの知性は予測を見誤ったのか
結果として、1990年以降の日本経済を待ち受けていたのは、予測とは真逆の「失われた30年」だった。なぜ、これほどまでに予測は大きく外れたのか。そこには構造的な要因が存在する。
短期的な成果主義と営業マインド
当時の証券会社の現場では、苛烈な営業ノルマが存在していた。営業担当者は「株価は上がる」と言い続ける必要があり、長期的なリスク分析よりも、目先の期待感を煽るプロパガンダが優先されていた側面は否めない。
構造変化とバリュエーションの無視
金利の上昇や不動産融資の総量規制といった、バブル崩壊の引き金となる政策変更を過小評価していた。また、PER(株価収益率)が異常値に達していた事実を、「日本独自の経済システム(持ち合い株など)だから問題ない」と正当化してしまったのである。
3. 現代の「日経平均10万円説」とバブル期の共通点・相違点
現在、市場では再び「日経平均8万円」「10万円」といった威勢の良い数字が躍っている。多くの投資家が「歴史は繰り返すのではないか」と危惧するのは当然の心理だ。
| 比較項目 | 1989年(バブル期) | 現代(2020年代) |
| 主な買い手 | 国内法人・個人投資家 | 外国人投資家・新NISA層 |
| 企業の質 | 資産膨張(土地・株) | 収益性向上・株主還元強化 |
| 市場心理 | 全国民的な陶酔状態 | 慎重さを伴う期待 |
現代は当時と異なり、企業の利益水準(ファンダメンタルズ)に基づいた上昇であるとの見方が強い。しかし、「誰もが強気になった時こそリスクが最大化する」という相場の格言は、いつの時代も変わらぬ真理である。
4. 投資家が生き残るための「不確実性」との向き合い方
野村證券の過去の予測が証明した通り、市場の先行きを100%的中させることは不可能だ。投資家としての成功を収めるためには、以下の原則を徹底する必要がある。
- 「予測」ではなく「準備」をする: どんなに信頼できる機関の予測も、それは一つの仮説に過ぎない。暴落時のシナリオを常に持っておくべきだ。
- リスク管理の徹底: 市場の不確実性を理解し、許容できる損失の範囲内で資産配分(アセットアロケーション)を構築する。
- 過去の失敗をカタログ化する: 1990年の暴落がどのように始まり、どのような予兆があったのかを学ぶことは、現代の異変にいち早く気づくための武器になる。
歴史の教訓を血肉化せよ
1989年の野村證券による「8万円予測」は、今となっては過ちの象徴のように語られる。しかし、これは単なる過去の笑い話ではなく、「市場の熱狂が理性を飲み込む恐怖」を示す貴重な教材だ。
現在の強気相場においても、盲目的に数字を信じるのではなく、常に「もし予測が外れたら?」という冷徹な視点を持ち続けること。それこそが、バブルの教訓を活かした真の投資家の姿である。
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