裏側が真っ白な200円札が日本を救った?「ダルマ宰相」が仕掛けた空前絶後の大勝負

Last Updated on 2026年1月23日 by ぷーやん

1927年(昭和2年)、日本の銀行の窓口には、見たこともない「奇妙なお札」がうず高く積み上げられた。

表面こそお札の体裁を保っているが、裏返すとインクの跡すらない真っ白な紙。

偽札ではない。日本銀行が公式に発行した、正真正銘の本物である。

なぜ、こんな「手抜き」のようなお札がこの世に誕生し、そして国家の危機を救うことになったのか。その裏側には、一人の大臣の失言と、伝説の経済人の豪胆な機転があった。

事の始まりは、当時の片岡直温大蔵大臣が国会で放った、たった一言の「うっかり失言」だ。

「東京渡辺銀行が、とうとう破綻いたしました」。

実際にはまだ踏ん張っていた銀行を、大臣が勝手に引導を渡してしまったのである。この発言は瞬く間に全国へ広がり、国民は「銀行に預けていたら一円も戻ってこなくなる」と恐怖した。

人々は預金を引き出すために銀行へ殺到し、日本中がパニックに陥る「取り付け騒ぎ」が勃発。

これに直撃したのが、当時日本一の商社として君臨していた鈴木商店だった。メインバンクの台湾銀行が資金供給を止めたことで、巨大帝国はあっけなく崩壊した。

日本経済が完全にマヒし、国全体が沈没しかけたその時、救世主として担ぎ出されたのが「ダルマさん」こと高橋是清だ。

彼はかつてアメリカで奴隷として売られ、全財産を失ってホームレスになるという地獄を経験した男。修羅場をくぐり抜けてきた是清の決断は、常識を超えていた。

「とにかく、国民の目の前に札束を積め。印刷が間に合わないなら、裏側なんて白くていい!」

是清は全国の銀行を2日間強制的に休ませ、その間に印刷局を不眠不休でフル回転させた。

通常なら数週間かかる印刷工程を数日に短縮するため、裏面の印刷を一切省くという強硬策に出たのだ。こうして生まれたのが、伝説の「裏白200円札」である。

銀行の営業が再開された日、窓口の奥には、刷りたてでインクの匂いが残る真っ白な裏面のお札が山のように積み上げられた。

その圧倒的な札束の光景に、殺到した人々は圧倒された。

「なんだ、金はあるじゃないか」。

その安心感がパニックの毒気を抜き、騒ぎは急速に沈静化していったのである。

一人のリーダーの「言い間違い」が国を滅ぼしかけ、もう一人のリーダーの「裏が白いお札」という型破りな発想が国を救う。

この昭和金融恐慌のドラマは、単なる歴史の1ページではなく、情報の怖さとリーダーシップの重要性を教える最高のテキストだ。

当時の切迫した空気や、実物の裏白札の姿は、日本銀行公式サイトの解説ページで今も詳しく確認することができる。

裏面の印刷を省いた 日本銀行兌換券(だかんけん) 乙200円


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