消える消費者金融ビル、残るのは指先ひとつの借金

Last Updated on 2025年9月4日 by ぷーやん

消費者金融がDXの波にさらされる

かつて駅前の風景といえば、飲食店やカラオケ、パチンコ店と並んで必ず存在感を放っていたのが「消費者金融ビル」だった。

ひとつのビル全体がアイフルやアコム、プロミス、レイクといった消費者金融で埋め尽くされており、1階から最上階まで、フロアごとに異なる金融会社の看板が光っていた。

地方都市でも同じだ。駅前に降り立てば、ひとつのビルに何社もの消費者金融が集まっている光景は決して珍しいものではなかった。

なぜこうした構造になっていたのか。それは単なる偶然ではない。

多重債務という現象を前提にした「動線設計」だった。借り手はまず1階で融資を申し込み、それで足りなければ2階、さらに足りなければ3階へと上がっていく。

ひとつのビルの中で借金が連鎖していく。消費者金融にとってこれほど都合のいい仕組みはなかった。人目にさらされるリスクを覚悟しつつ、借り手は重い足取りで階段やエレベーターを上がっていった。その心理的な負担さえも、業界にとってはビジネスモデルの一部だった。

だが、その「駅前名物」は急速に消えつつある。

きっかけは店舗の無人化だった。有人店舗ではどうしても「借りている姿を見られる」という後ろめたさが残る。そこで無人契約機を設置し、直接人と対面せずに借りられるようにした。

これによって心理的ハードルは大幅に下がった。店舗に足を踏み入れることへの羞恥心を軽減し、むしろ気軽に融資を受けられる環境を整えていった。

しかし、時代の変化はそれで終わらなかった。今度はDXの波が、無人店舗そのものを駆逐しつつある。

アイフルは2027年までに無人店舗をすべてゼロにすると発表した。もはや借入はスマートフォンで完結する。アプリで申し込み、審査も即時に行われ、融資は口座に振り込まれる。返済や借入の受け取りもコンビニATMで済む。人が店に足を運ぶ必然性は完全に消えた。

アイフルが店舗全廃、スマホ借り入れで客減少 メルカリやLINEも台頭

思い返せば、かつては店舗のドアを開けること自体が大きな心理的壁だった。

誰かに見られるのではないか、周囲に噂が広がるのではないか、そんな不安を抱えながら駅前の雑踏をすり抜けて消費者金融に入っていった。

しかしその「恥ずかしさ」という最後の防波堤は、無人化によって崩れ去り、今ではスマホのタップひとつで借金ができる時代になった。借金はもはや「特別な行為」ではなく、数あるアプリ操作のひとつに過ぎなくなった。

この流れは消費者金融だけにとどまらない。ショッピングの世界でも「後払い」が標準化している。BNPL(Buy Now, Pay Later)サービスや各種後払いアプリは、欲しいものをその場で手に入れ、支払いは翌月以降に回すことを当たり前にした。

日本だけではなく、アメリカやヨーロッパを含め世界中でこの潮流は拡大している。借金はますます匿名化され、無意識化され、日常の消費行動に埋め込まれている。

かつてはお金を貯め、我慢を重ね、やっとの思いで欲しかったものを手にした時の喜びがあった。

「ようやく買えた」という達成感は、消費の一部として大きな意味を持っていた。しかし、その感覚は今や時代遅れになりつつある。

貯めてから買うのではなく、欲しい瞬間に手に入れ、支払いは未来へと先送りする。消費者金融のDX化は、この「我慢の喜び」の消失と同じ文脈にあるのだろう。

消費者はどこまでも便利に、そして気軽に借金へとアクセスできる。だがその便利さの裏側で、借金の重みやリスクを意識する機会はますます薄れていく。

駅前の消費者金融ビルが消えていくのは、単なる風景の変化ではない。人々の借金観、そして消費そのものの形を大きく変える、時代の象徴的な出来事といえる。

PS
TOPIX500対応デイトレモデルを公開。シンプル設計で初心者でも安心。忙しい毎日でも、寄り付き注文・大引け決済で効率的に利益を狙えます。無料アプデで市場の変化にも対応。今すぐチェック!
日本株デイトレードモデル ラインナップ

今日もお越し下さりありがとうございます
応援よろしくお願いします!

先物・オプションランキング

メルマガ詳細
(Visited 43 times, 1 visits today)