Last Updated on 2026年2月16日 by ぷーやん

第1回から第3回にかけて、相場における努力の空虚さ、バブルの狂乱、そして人間の本能に刻まれた「負けのプログラム(プロスペクト理論)」について詳述してきました。
第1章の完結編となる今回の【第4回:感情ゼロの集金作業 ~システムトレードへの転換~】では、私たちが直面している真の敵の正体と、感情を殺して「機械」になることの意味、そして次章への架け橋となる「逆転の視点」を提示します。
【第4回:感情ゼロの集金作業 ~システムトレードへの転換~】
ハイテク機器で武装した「竹槍」の兵士たち
トレードで勝てない時期、多くの人が陥る思考パターンがあります。
「もっと良い情報を手に入れれば」「もっと最新のチャートソフトを使えば」「もっと高機能なPCを並べれば、勝てるようになるはずだ」というものです。
かつての私も、例外ではありませんでした。
操作するPCをマルチディスプレイで武装し、1分1秒の判断力を高めるために最新鋭のチャートソフトを導入しました。
瞬間的なチャンスを逃さないよう、マウスのクリック音さえも心地よく感じるほど、トレードという「戦闘」に没頭していたのです。
しかし、今ならはっきりと言えます。それは、竹槍を丁寧に磨き上げて、ステルス戦闘機に立ち向かおうとするような、無謀で滑稽な努力に過ぎなかったのだと。
私たちがモニター越しに戦っている相手は、一体誰でしょうか?
画面の向こうにいるのは、同じように悩む個人投資家だけではありません。
そこには、年収数億円を稼ぎ出し、世界中の情報を瞬時に集約し、最新鋭のスーパーコンピューターとアルゴリズムを駆使するウォール街の怪物たちが潜んでいます。
特に現代の相場を支配しているのは「AI(人工知能)」や「HFT(高頻度取引)」です。
彼らは1,000分の1秒、あるいはそれ以下のナノ秒単位で注文を連射し、人間のまばたきよりも速く市場の「歪み」を刈り取っていきます。
そこには「恐怖」も「強欲」も存在しません。ただ計算された確率に基づき、淡々と、そして冷酷に、迷える個人投資家の資金を吸い上げていくのです。
この残酷な現実を前にした時、私たち人間に残された道は一つしかありません。それは、彼らと同じように「感情を殺し、機械の一部になる」ことです。
「90-10の法則」という冷徹な選別
ここで、私がかつて衝撃を受けたあるデータについてお話ししましょう。
ある大手証券会社が、顧客の口座状況を詳細に調査した結果、1年間で1円でも口座残高が増えた人の割合は、全体のわずか5.6%、多く見積もっても10%に満たなかったという事実です。
世の中ではこれを「90-10の法則」と呼びます。マーケットに参加する90%の人間は、90日以内に資産の90%を失うという、身の毛もよだつような統計です。
なぜ、これほどまでに多くの人が敗れ去るのか。
それは、多くのトレーダーが相場を「予測の対象」だと思い込み、自分の「意思」や「希望」を投影してしまうからです。
「これだけ下がったのだから、もう上がるだろう」 「あのアナリストが買いだと言っていたから、チャンスだ」 こうした「なんとなく」という感情こそが、プロやAIが最も好む絶好のエサになります。
彼らは、あなたが「もう耐えられない」と絶望して損切りしたその瞬間に、その投げ売りを拾って利益を上げる術を熟知しているのです。
勝者となる10%の側へ行くためには、この「大衆の心理」から完全に決別しなければなりません。
相場は、人格や道徳を評価する場所ではありません。ただ「数字」がすべてを支配する、極めてドライで弱肉強食の世界なのです。
「相場のパチプロ」への転換
システムトレードの道に足を踏み入れた時、私は自分を「相場のパチプロ」だと定義し直しました。
パチンコで生計を立てるプロたちは、決して「今日は当たりそうな気がする」というオカルト的な感覚で台を選びません。
彼らが見ているのは、回転数や確率、つまり「期待値」だけです。
1,000回、2,000回と試行を繰り返せば、必ずプラスに収束するという確信があるからこそ、一時的なハマり(連敗)にも動じず、淡々とハンドルを握り続けることができるのです。
トレードも、本質的にはこれと同じです。
「今日は買いだ」「明日は売りだ」と一喜一憂するのは、博打打ちの所業です。真の投資家が行うべきは、検証によって「期待値がプラスである」と証明されたルールを、心を無にして執行し続ける「作業」です。
「釣れてもよし、釣れんでよし」 これが私のモットーです。
釣り人が魚をコントロールできないのと同様に、私たちもマーケットの値動きをコントロールすることはできません。
私たちにできるのは、統計的に有利な場所に網を仕掛け、あとは獲物がかかるのを静かに待つことだけなのです。
努力の「質」を180度変える
第1章を通じて、私は「努力が報われない」と繰り返し述べてきました。しかし、これは「何もするな」という意味ではありません。努力の「対象」を根本から変えろ、という意味です。
多くの人が行う努力は、いわば「明日の天気(相場の未来)を当てようとする努力」です。しかし、どれだけ気象学を学んでも、突発的な嵐を防ぐことはできません。
一方、私たちがすべき努力は、「嵐が来ても沈まない船(システム)を造り、羅針盤に従って淡々と操船し続ける努力」です
1日17時間の検証作業も、未来を予知するためではなく、自分の中にある「不合理な本能(確証バイアスなど)」を徹底的に叩き潰すために行うのです。
数字という冷徹な鏡を見て、自分がどれほど感情に左右されやすい弱い存在であるかを自覚すること。それが、システムトレードへの第一歩となります。
絶望の先にあった「ATM」への扉
私の人生が1999年にドローダウンを迎え、相場の世界でさらなる地獄を見たことは、今となっては必要な「通過儀礼」だったのだと思えます 。
あの絶望があったからこそ、私は自分の浅はかな知恵を捨て、「確率」という揺るぎない神を信じることができたのです。
相場は、予測しようとすれば「地獄」になりますが、仕組みで対処すれば「ATM」に変わります。
第1章では、相場の残酷な真実についてお話ししてきました。
- 努力の量と成果が反比例する理不尽。
- 聖杯という名の蜃気楼とマグレの毒。
- 人間を負けるように仕向ける脳のバグ(プロスペクト理論)。
- 最新鋭のAIとHFTに支配されたマーケットの正体。
これらを受け入れることは、非常に痛みを伴う作業です。
しかし、この「残酷な真実」を骨の髄まで理解し、自らの意思を封印する覚悟ができた時、ようやくあなたのトレードは「集金作業」へと昇華されます。
次章からは、いよいよ私が四半世紀の歳月をかけて辿り着いた、具体的な「逆転のロジック」について公開していきます。
個人の感情を一切介入させず、マーケットの「歪み」だけを淡々と刈り取る。その「負けない仕組み」の全貌を明らかにしましょう。
とんでもないところへ行くための、ただ一つの道。 それは、今この瞬間から、あなたの「本能」を捨てることから始まります。
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