第2章-2:逆転のロジック ~「個人の意思」を殺した者だけが勝つ~

Last Updated on 2026年2月18日 by ぷーやん

第2章の第2回目は、マーケットに潜む理屈抜きの規則性、すなわち「アノマリー(バイアス)」に焦点を当てます。なぜ「なぜ動くか」を考えることが無意味なのか、そして統計的な「歪み」をどのように利益に変えるのか

【第2回:アノマリー ~マーケットの『歪み』をハックする~】

「なぜ」を問うな、ただ「事実」を拾え

投資の世界には、経済ニュースの裏側を読み解こうとする「深読みのプロ」が溢れています。

「米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録でこの単語が使われたから、ドル高になるはずだ」「中東情勢が緊迫化したから金が買われる」といった、もっともらしい解説です。

しかし、こうしたファンダメンタルズ分析やニュースの解釈は、個人投資家にとっては往々にして「有害なノイズ」でしかありません。

私が町工場の技術者として働いていた頃、機械が故障した際に最も重要だったのは「なぜ故障したか」という哲学的な問いではなく、「どの部品が、どんな条件下で、どのような不具合を起こしたか」という再現性のある事実でした 。

相場も同じです。価格が動く理由など、後付けの解釈に過ぎません。私たちに必要なのは、理由ではなく、「統計的に、特定の条件下で価格が特定の方向に動く傾向がある」という事実だけです。

これを「アノマリー(バイアス)」と呼びます。

理屈では説明できないけれど、なぜかそうなってしまうマーケットの「クセ」です。私はこのアノマリーこそが、個人投資家が最新鋭のAIや巨大なヘッジファンドと渡り合うための、唯一の「聖域」であると確信しています。

日本の商習慣が作り出す「ごとう日」の歪み

最も有名で、かつ強力なアノマリーの一つに、日本の「ごとう日(5日、10日、15日、20日、25日、30日)」があります。

これは、日本の多くの企業が決済日として設定しているため、銀行の「仲値(午前9時55分の公示レート)」に向けて、輸入企業による実需のドル買いが集中しやすいという現象です。

私はこの「ごとう日」の動きを徹底的に検証しました。

過去10年以上のデータをエクセルに落とし込み、何時にエントリーして何時に決済すれば最も効率よく利益を残せるのかを、まさに三升の米を炊くような執念で分析したのです。

その結果生まれたのが「ごとう日手法(EA)」です。

「今日はごとう日だからドルが上がるはずだ」という主観的な判断は一切挟みません。ただ、カレンダーが「5」や「0」の付く日を示した時、特定の時間に機械的にエントリーし、特定の時間に決済する。これだけで、多くのテクニカル指標が迷走する中で、私の口座には着実に「ATMからの現金」が振り込まれるようになります。

重要なのは、この手法が「経済学的な理論」に基づいているから勝てるのではなく、「多くの日本企業がそのように行動せざるを得ないという物理的な構造」に基づいている点です。

マーケットを支配するアルゴリズムは複雑怪奇ですが、こうした「人間の生活習慣」や「制度」が生み出す歪みだけは、どれほどテクノロジーが進化しても、消えることのない利益の源泉なのです。

月曜朝の「窓」という無料のプレゼント

もう一つ、私が長年愛用しているアノマリーが「月曜日の窓空け(ギャップ)」です。

為替市場は土日には閉まっていますが、その間も世界ではニュースが飛び交っています。そのため、月曜日の早朝に取引が再開された際、金曜日の終値から大きく離れた価格でスタートすることがあります。これをチャート上では「窓」と呼びます。

統計的に見て、この窓は高い確率で「埋められる(元の価格に戻る)」という傾向があります。特に大きなギャップダウン(下窓)やギャップアップ(上窓)が発生した際は、絶好のチャンスとなります。

かつての私は、月曜の朝は「今週はどっちに動くかな?」と不安な気持ちでチャートを眺めていました。

しかし、窓空けの統計的優位性を知ってからは、月曜の朝は「落ちているお金を拾いに行く時間」へと変わりました。

「窓が空いた、だから逆方向に張る」。 そこに迷いはありません。もし窓が埋まらなければ、決めたルールで淡々とロスカットする。埋まれば利益をいただく。ただそれだけの「作業」です。これを数年、数十年と繰り返すだけで、確率は収束し、資産曲線は右肩上がりを描くようになります。

「シンデレラ」と「おはようNY」:時間の支配

アノマリーは日にちや窓だけではありません。「時間帯」そのものにも強力なクセが存在します。

私が開発した「シンデレラ」という手法は、深夜0時を境にした相場の反転を狙ったものです。また、「おはようNY」は朝の特定の時間に発生するトレンドをハックする手法です。

なぜ特定の時間に動くのか。それは世界中の市場(東京、ロンドン、ニューヨーク)がオープン・クローズする際に、参加者の顔ぶれがガラリと入れ替わるからです。

交代する際に発生する「ポジションの解消」や「新規の注文」のぶつかり合いが、統計的な「偏り」を生み出します。

例えば、「モーニングアタック」と呼ばれる時間帯は、朝の寄付き付近しか動かない相場環境において、唯一のワンチャンスとなることが多いのです。

私は、1日中チャートを監視してチャンスを伺うような「非効率な努力」を一切やめました。代わりに、アノマリーが発生する特定の数分間、数時間だけを狙い撃ちにする「スナイパー・トレード」に徹することにしました。

これにより、私の自由時間は劇的に増えました。

会社員時代、上司の目を盗んでトイレでスマホをチェックしていた頃とは違い、今はシステムのサインが出る時間だけを確認し、あとは家族との食事や趣味の時間を楽しむことができます。

アノマリーを味方につけるということは、お金だけでなく、「自分の人生(時間)」を相場から取り戻すことでもあるのです。

統計的優位性(エッジ)を信じ抜く力

アノマリーを使ったトレードにおいて、最も困難なことは「検証」ではなく「継続」です。

どれほど優れたアノマリーであっても、100%勝てるわけではありません。3連敗、5連敗することもあります。そんな時、多くの人は「もうこのクセは通用しなくなったのではないか」と不安になり、勝手にルールを曲げてしまいます。

しかし、私は25年間の検証を通じて知っています。相場が一時的にランダム性を強めても、最後には必ず「統計的な歪み」へと収束していくことを。

「釣れてもよし、釣れんでよし」。

この境地に至るには、自分で行った膨大なバックテストの結果という「揺るぎない証拠」が必要です。他人の手法を借りてきただけでは、連敗の恐怖に耐えることはできません。

私は1日17時間、エクセルのセルを埋め尽くすほどの検証を重ねることで、「この条件なら、100回やれば60回は勝てる」という絶対的な自信を体に叩き込みました。

あなたは「予想屋」か、それとも「技術者」か

相場で負け続けているあなたに、問いかけたいことがあります。

あなたは、明日、世界で何が起こるかを的中させる「予想屋」になりたいのでしょうか? それとも、マーケットに発生する小さな歪みを淡々と刈り取る「技術者」になりたいのでしょうか?

もし後者を目指すなら、今すぐテレビの経済ニュースを消し、複雑なインジケーターをチャートから削除してください。そして、過去のデータをひっくり返し、あなただけが見つけた「マーケットのクセ」を抽出してください。

アノマリーは、特別な才能を持つ人にしか見えないものではありません。地道にデータを観察し、感情を排除して数字と向き合える「誠実な努力」ができる人なら、誰でも見つけることができます。

次章からは、このアノマリーによる利益を、さらに爆発的な資産へと増幅させるための心臓部、「魔法の資金管理術(ベッティング)」の具体的なロジックを公開します。

10万円を3億円に変えるための、数学的な裏付けを持った「賭け方」の正体に迫りましょう。

(第2章・第2回:完) 次回、第2章・第3回「『しまうま』とポートフォリオ:相関の罠を抜ける」へと続きます。

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