かつての『悪夢』は今、日常になった。スイスフラン高が暴いた中央銀行の限界とアルパリ破綻の教訓

Last Updated on 2026年2月6日 by ぷーやん

スイスフランが200円と突破し、今や世界最強通貨となっている。

今の為替市場は、今での様に単純に「金利高=通貨高」、「金利低=通貨安」という相関ではなくなり、スイスフランのように金利が世界最低水準にも関わらず、通貨は世界最強というまったく違う環境になっている。

スイスフランと言えば思い起こされるのが、ユーロスイスの通貨ペアにおけるFX史上最大級のユーロの暴落がある。

2015年1月15日。FXの世界で語り継がれる「スイスショック」という悪夢があった。

当時、スイス中央銀行(SNB)は自国通貨高を防ぐため、「1ユーロ=1.20スイスフラン」という防衛ラインを死守していた。

このラインを超えるスイスフラン高になれば、中央銀行が無制限に介入してユーロを買い支えるという約束だ。投資家たちはこの「絶対的な壁」を信じて取引を続けていた。

しかし、その日は突然やってきた。

中央銀行が「もう維持できない」と判断し、この無制限介入を予告なしに撤廃したのだ。

マーケットはパニックに陥った。買い支えがなくなった瞬間、ユーロに対してスイスフランは猛烈に買われ、わずか数分で30%近く暴騰した。

この歴史的な暴走により、世界中のFXブローカーが致命的な打撃を受けた。

崩れ去った「大手」の看板

特に衝撃的だったのは、当時イギリスの大手ブローカーであり、イングランド・プレミアリーグのウエストハム・ユナイテッドのスポンサーも務めていたアルパリ(Alpari UK)の破綻だ。

顧客の損失が預託証拠金を大幅に上回り、そのマイナス分を会社が肩代わりせざるを得なくなった結果、一気に債務超過(破産)に追い込まれた。

ニュージーランドのグローバル・ブローカーズ(Global Brokers NZ)も同様の理由で事業継続が不可能になり、閉鎖に追い込まれた。

さらに、当時の世界最大級のFX業者だったアメリカのFXCMまでもが、わずか1日で2億2,500万ドル(当時のレートで約260億円)もの巨額損失を出し、倒産の危機に瀕した(その後、他社からの緊急融資で辛うじて存続したが、その傷跡は深かった)。

それから11年以上が経過した。チャートを見ると、中央銀行があれほど必死に守ろうとした1.20という水準は、今やはるか遠い空の上にある。現在のレートは再び当時のパニック時に近い0.91フラン台まで売り込まれている。

中央銀行という巨大な組織が、市場の波に抗おうとしても、結局は大きな歴史の流れに飲み込まれてしまう。

この記事が伝える「スイスフランが11年ぶりの高値」というニュースは、単なる数字の変化ではない。

かつて多くの人を破滅させたあの「悪夢の再来」であり、市場の力がいかに残酷で絶対的であるかを物語っている。

歴史は繰り返す。

ただし、前回のような一瞬のパニックという形ではなく、今回は「じわじわと真綿で首を絞めるような歴史的なユーロ安」として進行している。

昔からのトレーダーにとって、このチャートは単なるグラフではなく、深い傷跡のように見えるはずだ。

PS
日経先物の東京時間は、もはや値動きのおとなしい時間ではなく、ボラティリティの激しいマーケットに変貌している。
【最高益更新】日経先物デイトレ・順張りモデル 2/6


先物・オプションランキング

メルマガ詳細
(Visited 42 times, 4 visits today)