Last Updated on 2025年12月23日 by ぷーやん

AIの急速な進化によって、新卒採用のあり方が根本から覆されようとしている。
今朝の日経の記事
就活ES「AI頼み」が当たり前? 測れぬ熱意、ロートなど書類選考廃止
現在の就職活動において、エントリーシート(ES)をAIに「丸投げ」する学生は珍しくない。
もちろん全員ではないにせよ、思考のプロセスを省き、瞬時にそれなりの体裁を整えてくれるAIを使わない手はないというのが、デジタルネイティブ世代の本音だろう。
しかし、この「便利さ」の裏側で、採用という仕組みそのものが機能不全に陥っている。
エントリーシートの形骸化と「リアル」への回帰
企業側も馬鹿ではない。
AIが生成した、淀みのない、しかし血の通っていない文章をいくら読み込んだところで、その学生の真の素養や人間性を評価することなど不可能だと気づき始めている。
これまで効率化の象徴だったESによる書類選考は、もはや選考基準としての信頼を失った。今後、ESを形ばかりの提出物とし、評価対象から外す企業は確実に増えるだろう。
では、次に何が来るのか。
「動画選考」がその代替案として注目されたが、それすらもはや安泰ではない。生成AIを使えば、本人が一度も口を開かなくても、精巧な自己PR動画が作れてしまう時代だ。
結局、行き着く先は「ライブ(対面)」しかない。
デジタルで効率化を突き詰めた結果、皮肉にも我々は、髪を整え、服装を正し、実際に顔を合わせて言葉を交わすという、極めてアナログで「非効率」な旧来の面接形式に戻らざるを得なくなっている。
マニュアル化の罠と「尖った才能」の消失
だが、対面に戻ればすべてが解決するわけでもない。
今の学生たちは、AIによって「正解に近い回答」を事前に叩き込まれている。面接の場でも、採用担当者に不快感を与えない、当たり障りのない、完璧にマニュアル化された回答を繰り返す学生が量産されているのが現状だ。
ここにあるのは、「効率化・平準化」という名の病である。
- AIによる文章の自動生成
- マニュアルによる受け答えの定型化
- 効率を重視しすぎる採用システム
これらが幾重にも重なった結果、世間の常識に縛られない「尖った才能」や、既存の枠組みを壊すような「異能」を持つ学生を見出すことは、以前にも増して困難になっている。
効率化が奪ったもの
ネット環境やデジタル技術は、かつて「優秀な学生を効率的に探すためのツール」として期待された。しかし、AIの過度な発達は、そのツールを「誰もが同じ正解を出すための装置」に変えてしまった。
どんなにテクノロジーが進化しても、企業の成長を支えるのは、マニュアルに収まりきらない人間の熱量や予測不能な創造性であるはずだ。
しかし、AIに依存する学生と、形式的な選考に終始する企業の間で、その本質は埋没し続けている。
採用の現場が、再び「リアル」という戦場に戻ろうとしている今、問われているのはAIの使い方ではない。
「自分自身の言葉で何を語れるか」という、あまりにも原始的で、しかし最も困難な問いに、我々は再び直面しているのだ。
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