Last Updated on 2019年12月4日 by ぷーやん
僕が株を始めた頃、日本経済は絶好調だった。
プラザ合意後の急激な円高により、金利が大きく下がり、お金は株や不動産へ湯水のように流れ込んだ。
そんなバブル経済に活躍?した異色の相場師。
今回は、まるで漫画に出てくるような女相場師の話だ。
目次
- 北浜の天才相場師?尾上縫
- 料亭に銀行職員が朝から来て掃除をし、一角にデスクを構える銀行
- 女将が銀行に支払う金利は毎年1300億円以上
- 個人で3兆円の借金する
北浜の天才相場師?尾上縫
バブル景気に沸く1987年、日本の地価総額は1,673兆円に達した。
東京23区の土地でアメリカ全土が買えると言われていた時代である。
猫も杓子も、株や不動産にどんどんお金を注ぎ込み、面白いように儲かった時代だった。
その当時、大阪に「北浜の天才相場師」と呼ばれた、年齢60歳の料亭の女将がいた。
女将の名は、尾上縫。
「あなたの将来を占ってあげます」と言って、占いを金持ちの男性と仲良くなる道具とし、自分のパトロンから6億円を借金して、料亭の経営を始める。
ある日、証券会社の営業マンがNTT株をど素人の女将に薦め、女将は勝負に出た。
パトロンから10億円を借り購入したNTT株で、なんと28億円を儲けてしまう。
それが、証券業界で話題になり、証券会社がこぞって女将詣でを始める。
料亭に銀行職員が朝から来て掃除をし、一角にデスクを構える銀行
女将は料亭の客らに対して、占いと神のお告げによって株式相場の上昇や競馬の勝ち馬などを見事に言い当てるとして評判となり料亭は大繁盛する。
その後、女将は「神のお告げ」でなんと6000億円を越す個人資産を一時、築き上げるまでになった。
女将が絶頂期の頃は、彼女の料亭に銀行職員が朝から来て掃除をし、一角にデスクを構えた銀行まであったという。
現金が必要になると、女将は料亭内のデスクの職員にその旨を伝えるだけで、すぐに銀行から現金が送り届けられるという至れり尽くせりの状態だった。
女将が銀行に支払う金利は毎年1300億円以上
一般の支店が稼げる金利収入は1カ月でせいぜい数億円といったところだが、女将が銀行に支払う金利だけでも毎年1300億円以上あったというから驚きである。
それほど巨額な利益を銀行にもたらす顧客は日本でも彼女だけで、彼女の料亭内のデスクに座る銀行職員の地位は、支店長よりも上であったとも言われていた。
しかし「神のお告げ」はやがて当たらなくなる。
実際は、「神のお告げ」などではなく、バルブ相場で上昇トレンドが続いていただけで、誰がどの株を買っても儲かっていただけの事。
その後バブルの崩壊で、買っても、買っても相場は下がり続ける。
しかしそれまでと同じ投資スタンスで、上昇を期待してナンピン買いをするが株価は戻らない。
こうなるともう人間は制御が利かなくなる。
個人で3兆円の借金する
女将は、銀行の巨額の定期預金証書を偽造させて、それを担保に他の銀行から金を借り集め、なんと個人としてはありえない、3兆円もの巨額なお金を借り集める。
個人で3兆円。
世界一高くついた関西国際空港の建設費用を上回る額だ。
そして3000億円を融資した東洋信用銀行は後に消滅。
その他の金融機関も巨額の損失を計上した。
女将は、証書偽造による詐欺罪で逮捕され、懲役12年の実刑判決を受けた。
女将は金持ちの男性を見分ける眼力と、目をつけた金持ちの男性に取り入る能力は抜群で、高齢だが、魅力にあふれていたという。
頭が良い人が揃っている銀行を手玉に取って大暴れ。
大阪のおばちゃんの壮絶な人生である。
漫画のような出来事がバブル期に実際にあったという驚きと、あまりにも非現実的な内容は、実話として映画化にもなっている。
金融を扱った映画は数あれど、これは相場を知らない人でも十分に楽しめる映画だ。
是非一度ご覧あれ。面白いよ。
人気記事
この記事を書いたのは私です