Last Updated on 2020年5月14日 by ぷーやん
データを分析した統計的手法を投資戦略とするシステムトレーダーなら、この男の名前を知らない人はいないだろう。
ジム・シモンズ
伝説のヘッジファンド、ルネサンス・テクノロジーの創業者だ。
投資の神様バフェットをコテンパンにやっつけた男ジム・シモンズ
コロナショックでマーケットが大混乱に陥り、あの投資の神様のウォーレン・バフェットでさえ5兆円も飛ばした。
アメリカの経済発展の将来性を強く信じ、30年は持つと言っていた航空会社株を全部売り払い、「もう世界は変わる」とメッセージを残したことは世界中に衝撃を与えた。
一方でジム・シモンズ率いるルネサンスはコロナ相場など物ともせず、投資の神様をあざ笑うかのように年初から+20%以上を叩き出している。
ジム・シモンズは数学を駆使した幾何学者だった。
幾何学とは、図形や空間の性質について研究する数学の分野で、こんな得体のしれないものを好き好んで研究するのはやはり変人である。
シモンズは大学で教鞭をとっていた時期もあったが、彼がヘッジファンドの鬼才になるきっかけとなったのが、スノーデンの暴露で世にその存在を明らかにされたNSA(米国国家安全保障局)で暗号解読を行っていたことが大きい。
シモンズはNSAでの暗号解読の為にコンピューターのアルゴリズム解析と機械学習を学び、これが後にマーケットでトレード戦略の強力な武器になるのである。
ベールに包まれたルネサンスの投資手法
ルネサンスの投資手法は、一言で言えばAIを駆使した機械学習である。
膨大なデータから値動きの法則性を見つけ出し、統計手法に基づいて世界の様々な資産クラスの短期売買を手掛けるが、その実態はベールに包まれている。
2019年に発売された「THE MAN WHO SOLVED THE MARKET(市場を解明した男)」は、ジム・シモンズの事やルネサンスの投資手法を何とか学ぼうとするマーケット関係者から大きな反響を呼んだ。
まだ日本語訳がないのが残念だが、パンローリングさんあたりが早く日本語訳を出してくれると嬉しいのだが・・
気温のデータも将来の株価予想に使う徹底したデータ主義
僕がシモンズに共感するのは、経済観測や企業業績などのファンダメンタル予想を排除し、価格情報の解析技術の開発だけに集中しているということ。
コンピューターの機械学習には膨大なデータが必要になるが、面白いのはマーケットの価格情報だけでなく、天気や気象条件など一見マーケットの予想に関係の無いデータなども分析に取り込んでいたというのが大変興味深かった。
僕もブログに「気温と株価の関係」を調べて記事を書いたことがあるが、相場分析にこういうアプローチも使うシモンズが好きだ。
めったにメディアの前に登場しないジム・シモンズだが、TEDに登場した貴重な動画ある。自身の生い立ちや運用の基本的なことも話しているのでとても参考になる。
バフェットの投資スタイルは割安株を発掘し、数少ない銘柄を長期保有するいわゆるバリュー投資だが、シモンズは投資指標を無視し、数多くの銘柄を短期売買するというまさに正反対の運用方法である。
「世界は変わる」と言ったバフェットの長期保有の運用スタイルと、投資指標を無視した短期売買に徹するシモンズの運用スタイル。
僕の日本株ロングショート戦略も、シモンズと同様に数多くの銘柄を短期売買するスタイルだが、コロナ相場でも無傷で乗り切っているのを思うと、王道とされる米国株の長期保有は本当に王道であり続けるのだろうかと疑問になる。
100年に一度のリーマンショックから、わずか10年程度でリーマンを上回る危機が起こる時代。
もはやバフェットの時代ではなくなったのだろうか・・
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