Last Updated on 2020年12月20日 by ぷーやん
「AI競馬」なる本を読んだ。
文字通り、AIを駆使して競馬で儲ける為のAIの活用法である。
競馬ファンなら誰でも一度は、「競馬ソフトを使ってぼろ儲けできないだろうか」と考えたことがあるのではないだろうか。
AIは今や製造、小売り、各種サービスなど、ありとあらゆる産業に必須のツールとなり、ビッグデータを解析することで、今までとは桁違いの生産性や効率性を得ることができる現代の魔法のランプである。
そんなAIだが、今よりもはるか昔からこの魔法のランプを最大限に活用していた世界がある。
競馬だ。
AI競馬の歴史は長く、なんと30年前からオタクたちが盛んに競馬ソフトの開発を競っていたのである。
当時はソフトの回収率が85%を超えればスゴイと言われていたようで、回収率が100%を超えない限り期待値はプラスにならないので、早い話が全く競馬に勝てるようなソフト開発など夢物語だった時代だ。
誰もが実際に儲かるソフトを作れるとは信じていなかった頃、実は世界ではAIを駆使して競馬で巨万の富を得ていた人達が実際に存在していたのだ。
世界、いやおそらく日本でも一部の天才はいたはずで、彼らは税制上の理由で表に出てこれなかっただけなのだろう。
競馬で儲けて確定申告などする奴などいないからだ。
しかしその後、「卍」というニックネームの男が競馬ソフトを使って1億5000万もの利益を挙げていたことが世に明るみに出て、世間に衝撃が走った。
当時はまだハズレ馬券を経費だと認めてくれずに、勝った馬券だけを課税するという地獄のような税法だったが、この男は最高裁で戦いハズレ馬券を経費だと認めさせたのだ。
しかし世界は広い。
ユープロという表向きはデータ分析会社だが、実態は競馬ソフトを駆使した競馬の配当を荒稼ぎする集団があった。
その集団がどのくらい稼いだというと、その額は3年間で160億円にも上り、当然無申告なので、国税庁は60億円を追徴課税し差し押さえの手続きを取った。
このことは当時大きなニュースにもなったので覚えている人もいるだろう。
社長はイギリス籍のガイジンだったようだが、儲けたお金の大半をすでに香港に送ったので、実際に国税庁が差し押さえできたのは3分の1程度だったようだ。
しかし3年で160億も競馬で稼ぐなんてどんな方法を使ったのだろうか?
競馬に興味が無い人でも興味がそそられる。
AI競馬の本によると、ある時期から競馬場には奇妙なガイジン集団の存在が目立つようになった。
彼らはマークシート用のモバイルプリンターを持ち込み、そのプリンターからガンガン印刷されたマークシートを持って券売所に走り、札束をがばっと出してバケツリレーみたいにして買っていったという。
買っているのは3連単だけで、100円とか1000円とか1万円とかオッズによって買う金額を変えていた。
普通の人はオッズに関係なく一律に100円で買う人が多いが、確率が違うのに一律100円で買うということは、全体の期待値は結局マイナスになり絶対に負ける買い方になる。
そこに目をつけたガイジン集団は、オッズの歪が利益を生むという所に気が付き、オッズにより買う金額を変えることで、競馬に勝つエッジを掴んだのである。
なるほどねー
競馬で勝つには、オッズが損益分岐点を上回る勝率を得ることが出来れば、勝率が高いとか低いとかは関係がない。
例えばオッズが10倍ということは、勝てば100円で買った馬券が1000円で払い戻されるので、差し引き900円儲かるということ。
この時の損益分岐点の勝率は10%なので、コンピュータが計算した統計上の勝率が10%以上あれば、トータルで勝てることになる。
こうしてオッズの違いによりそれぞれの損益分岐点の勝率を計算し、コンピュータで統計上勝てる購入金額を決定していく。
こういう買い方は大金が必要なので、普通の人は絶対にしない買い方だが、コンピュータで統計的な優位性に気が付けば、大金を使って多くの馬券を買うことで競馬で儲けることができるのである。
これはシステムトレードでも同じことで、あるモデルの損益率と勝率が分かり、期待値がプラスであれば、最終的には勝つことができる。
しかし多くの人がエッジのあるモデルを使っても最終的に負けてしまうのは、途中でドローダウンに遭遇してトレードを続けるメンタルが続かなく途中で辞めてしまうからだ。
僕がAI競馬を読んで気づいたのは、3連単のオッズの違う馬券を、オッズにより買う金額を変えていったというところに最大のエッジがあるということ。
いわゆるオッズの歪を狙うということだが、これを相場のモデルに置きかえてみると、同様の事ができるのではないかと思った。
まず3連単の馬券を買う代わりに、できるだけ沢山のトレードモデルを用意する。
モデルはそれぞれオッズにあたる損益率(プロフィットレシオ)が違うし、モデルの勝率も検証で分かっているので、損益率の違いにより張る枚数を可変させることで、競馬ソフトと同様に歪を取ることができるのでないかと考えてみた。
うーん、やってみないとうまく行くかどうかはわからないが、AI競馬を参考にまた新たな投資手法が生まれそうである。
AI競馬
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